こんにちは。
注意障害のリハビリについて紹介をして、今回で第4回目となりました。
4回目は、注意障害をどのように評価をすれば良いかについてです。
1回目:注意障害の概要の記事はコチラ↓
第2回:注意障害の種類についてはコチラ↓
第3回:注意機能のネットワークについてはコチラ↓
注意障害の評価
今回は、注意障害の評価方法ということですが、
病院では注意障害の軽微なものは見逃されやすく、地域での復職や復学の際に気が付かれることが多いとされています。
そのため、注意障害を疑う姿勢が必要となります。
机上検査
机上検査には、CATやかなひろい検査、TMT(Trail Making Test)といったものがあります。
①CAT
CATは、標準注意検査法と呼ばれ、日本高次脳機能障害学会が作成しました。
数唱や抹消課題、SDMT、PASATなどの全7種類の課題からなります。
②TMT
TMTは、米国で開発された検査方法です。
紙面に記載されたターゲットを順に一筆書きで線を結んでいく検査となります。
ApartとBpartからなり、Apartは数字のみを、Bpartは数字と仮名を交互に結ぶ検査となります。
注意のコンポーネント別にみる机上課題
①持続性注意の検査
持続性注意の検査方法として、一般的なものはCATに含まれるCPTという検査です。
この検査は、パソコンを使用して行うもので、
①反応時間課題 ②X課題 ③AX課題 の3つの課題からなります。
この3つの課題における反応時間のばらつきが、日常生活や車の運転の際の注意の持続に関与していると言われています。
②選択性注意の検査
選択性注意の検査には、視覚性のものと聴覚性のものがあります。
視覚性の選択性注意の検査は、数多く存在します。
例えば、CATの視覚性抹消課題、BITの文字抹消試験、星印抹消試験、TMT-Aなどが挙げられます。
聴覚性の選択性注意の検査には、CATの聴覚性検出課題があります。
③転換性注意の検査
転換性注意機能の検査としては、CATの中のSDMT検査が挙げられます。
この検査は、9つの記号と数字が記載された対応表をもとに記号に対応する数字を記入していく検査です。
記号は連続をすることがないので、その都度、注意を切り替える必要があるとされています。
④分配性注意機能の検査
分配性注意機能の検査には、CATのPASATやTMT-Bのような課題が当てはまります。
注意機能の検査の注意点
注意機能の検査を行う上で、注意しなければならない点があります。
それは、注意機能のコンポーネントを単独で使用する検査はないという点です。
例えば、CPTの検査は持続性注意の検査とお伝えしました。
しかし、①~⑨のうち⑦を選択する選択性注意の側面もあります。
他にも、各種検査を集中して取り組むには、持続性注意が働いていないといけないとも考えることができます。
そのため、この検査が低いためこの機能が弱いといった単一的な解釈はできないと考えます。
観察評価
私たちは、机上検査のみで人を判断するのではなく、生活上の問題をもとに判断する必要があります。
その一つの指標として、BAADという観察評価があります。
この評価は、6つの問題行動の出現頻度を4段階(0:なし~3:常に)で重み付けをしていくものです。
原則、OT実施中の状況を1週間程度の期間をかけOTが評価します。
参考文献
1)張本浩平「極める!脳卒中リハビリテーション必須スキル」株式会社gene,2017,3,15
2)原寛美「高次脳機能障害ポケットマニュアル第3版」医歯薬出版株式会社,2015,2,25
3)石合純夫「高次脳機能障害学第2版」医歯薬出版株式会社,2016,1,10
4)豊倉 穣「注意障害の臨床」高次脳機能研究28(3):320~328,2008
まとめ
今回は、注意機能障害の評価方法について説明をしました。
今回、説明した定量的な評価がすべてではないですが、定量的な評価で見ている点がわかると
作業を観察するポイントも見えてくるのではないでしょうか。
コメント