こんにちは。
本日は注意障害のリハビリの第3弾、注意のネットワークについて説明をしていきます。
第1弾は、注意障害とは何かというお話をしました。
続いて、第2弾として、注意機能の種類について説明をしてきました。
そして今回は第3弾「注意機能のネットワーク」についてです。
人は物事に注意をする際に、脳内のどのようなネットワークを用いているのか・・・といったお話になります。
注意に関する主要なネットワーク
注意に関する主要なネットワークは大きく3つあります。
デフォルトモードネットワーク
一つ目はデフォルトモードネットワークと呼ばれるネットワーク機構です。
このネットワークは、一見なにもしていない状態で活動性を高め、認知活動を行っているときに活動が低下します。
自分の中へ注意を向けるネットワークと言われ、記憶の想起や内省、感情につき考えたりする際に働くと言われています。
後述する中央実行系ネットワークと競合する関係です。
一見休んでいるように見えて、働いているデフォルトモードネットワーク。
現代人はこのネットワークによる脳の疲れが大きいと言われており、一時、このネットワークを抑える瞑想が注目されました!
このネットワークは、下頭頂小葉-楔前部-後帯状皮質-内側前頭前野からなるとされています。
その中でも、後部帯状皮質と内側前頭前野が中心的に関与すると言われています。
中央実行系ネットワーク
次に、中央実行系ネットワークです。
デフォルトモードネットワークは、自分の内への注意であったのに対して、
中央実行系ネットワークは、外界への注意を向けるネットワークです。
目的指向的な遂行に関与し、注意の切り替えや配分を行うとされています。
先に述べたデフォルトモードネットワークと競合する関係にあります。
通常のルーチンワークで頭頂連合野が処理できなくなった物事を処理する際に働くともいわれています。
ACC(前帯状皮質)、PPC(後部頭頂葉)、DLPFC(背外側前頭前野)からなるネットワークとされています。
中でも、後部頭頂葉と背外側前頭前野が関与すると言われています。
セイリエンスネットワーク
3つ目にセイリエンスネットワークです。
このネットワークは、急に飛び出してきた人のような急激な刺激であったり、
モノクロの写真の中の真っ赤なリンゴにような際立った刺激に反応するネットワークです。
また、中央実行系ネットワークとデフォルトモードネットワークを切り替える働きも担います。
この経路は、INS(島皮質)やACC(前部帯状皮質)が関与すると言われています。
注意の階層から見るネットワーク
上記、3つのネットワークをもとに、注意の階層ごとに関与する部位やネットワークをみていきましょう。
Alerting
Alertingは、しっかりとした覚醒と持続性の注意で構成されていました。
そのため、脳幹、視床といった覚醒にかかわる部位や右前部帯状回、右背外側前頭皮質、右頭頂小葉からなるネットワークが重要とされています。
特に、右前部帯状回が中心的な役割を担っているとされています。
Orienting
選択性注意には、トップダウン処理とボトムアップ処理の2つがあります。
トップダウン処理は、背側注意機能とも言われ、意識したものを見つけ出す機能となります。
例えば、ウォーリーを探せはこの機能を使用していると考えられます。
先に述べた、中央実行系ネットワークに含めれ、頭頂間溝・上頭頂小葉と前頭眼皮質から構成されます。
この部位は、上縦束Ⅰ(SLFⅠ)で結合されています。
次にボトムアップ処理についてです。
この処理は、腹側注意機能とも呼ばれ、目立った刺激に注意を向けることに関与します。
この機能のネットワークはセイリエンスネットワークに含まれます。
SLFⅡで結合された側頭頭頂接合部と腹側前頭皮質からなるネットワークとされています。
Executive
切り替えや配分など注意の制御をいうExecutiveですが、
課題を順調に進めているときは、帯状回-弁蓋系で処理をされています。
しかし、何か自体があり、課題の途中で変更しなければならない場合は、
前頭-頭頂系で処理をされます。
まとめ
今回は、注意機能に関するネットワークについてみてきました。
頭頂葉~前頭葉、帯状回や脳幹・視床など脳の広範囲に注意のネットワークが存在していることがわかりました。
そのため、脳のご病気の方は何らかの注意のネットワークに損傷がある可能性が高いことを念頭に評価していく必要があるのではないでしょうか
ただでさえ、軽微な注意障害は病院では見逃されやすく、地域生活で気が付かれることが多いと言われています。
注意障害があるのではないかと疑う姿勢を持つことで、見逃しが少なく評価できる可能性があります。
次回は、注意障害の評価方法について説明していきます。
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